木質ボードについて

木質ボードができるまで

木質ボードの製造工程

木質ボードは各種木質未利用材を小片または繊維化して造られます。したがって原料の形態にこだわらずに利用できるので製品歩留まりが格段に向上します。
マット状に成形する際に乾式法と湿式法があります。乾式法は気流を利用し、湿式法は水を媒体とします。

乾式法の場合、ボードの主な内部結合力は塗布した接着剤や樹脂に由来しています。

湿式法の場合、主な内部結合力は繊維のフェルト化(水分を含んで膨潤した繊維が物理的に絡み合って離れなくなった状態)や、木材繊維の化学成分の接着性能に由来しています。

インシュレーションボードはマットを熱圧せずに乾燥しますが、ハードボード、MDF、パーティクルボードはサイズ剤や接着剤を添加後、高湿、高圧で圧締されます。
製品は方向性のない大きなサイズですので、用途に応じて自由にカットされます。

木質ボードの製造工程
木質ボードの製造工程
※サイズ剤とは、木材繊維(パルプ)の吸水性を低下させる薬品。撥水剤とは、製品表面につく水をはじく作用のある薬品。いずれも木質ボードの耐水性能を向上させる目的で使用する。

木質資源の段階的利用

木質資源の段階的利用

木材は太陽エネルギーによって水と炭酸ガスからつくられた生物資源です。
天然の状態で大きな固体として生活資材に使える材料は木材と石材しかありません。
しかも木材は炭酸ガスを固定して長期間貯蔵します。
使えなくなった木材は、最終的に燃焼や微生物によって分解され、十年から数十年で再び木材資源としてよみがえるという、他材料にはない、大きな特徴をもっています。
したがって木材を成長に要する時間より長く有効利用すれば、資源を枯渇させることなく循環利用できるはずです。
木材は丸太から製材品→合板、集成材→パーティクルボード、パルプ、繊維板、のように、次第に小さいエレメントに、段階的に、リサイクル利用されます。
パーティクルボード、繊維板は原料のすべてを、工場廃材、小径木・林地残材、建築解体材のようなリサイクル資源によっており、木質資源の段階的利用のかなめになる大事な位置を占めています。
上の図は木質資源の段階的利用をしめしたものです。ちょうど枝分かれして落ちる滝のようなので、カスケード利用ともいわれています。

原料使用割合推移

1998年以降の、木質ボード(繊維板およびパーティクルボード平均)の使用原料の推移を示します。

原料使用割合推移

原料比率推移に影響を及ぼした政策等

H12年

建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)H14年5月本格施行特定建設資材(コンクリート、アスファルト、木材)を用いた建築物を解体する工事等に おいて分別解体と再資源化が義務付けられた。

H12年

グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)H13年4月施行(注)再生品供給取組みに加えて需要面からの取組みが重要との観点から制定された。

H18年

グリーン購入法判断基準の改正リサイクル原料以外の木材に関する合法性の確認が追加された。

H21年

森林・林業再生プラン H21年公表、H23年森林法改正林業・林産業の再生を、環境をベースとした成長戦略の中に位置付け、木材の安定供給力の強化を軸にした対策により雇用も含めた地域再生を図るもの。「2020年までに木材自給率50%」の目標が掲げられ、H22年の公共建築物等木材利用促進法等の 関係法令も制定された。工業会では原料への間伐材利用状況を捉えるため、H21年実績調査から新たに区分を追加した。

(注)

グリーン購入法における「再生木質ボード」の判断基準①では、再生資源である木質材料が次の通り列挙され、これらの重量比配合割合が50%以上であること、と定められています。

間伐材、合板・製材工場から発生する端材等の残材、建築解体木材、使用済梱包材、製紙未利用低質チップ、林地残材・かん木・小径木等

木質ボードの原料木材は、判断基準にある「再生資源である木質材料」に全てあてはまっています。
(凡例の「その他」とは、工場で発生する鋸屑・サンダーダストや古紙・パルプ粕等です)